お知らせ

「文字で語る」のコンテンツを開始してみました。
当面実験運用です。
メインのホームページに整理する前の情報をお送りします。
断片的にはなってしまいますが、お役に立てるようにがんばります。
執筆担当は荻野です。応援メッセージやクレームもどんどん待っています。(^^)

2012年7月3日火曜日

構造計算のメリットとSE構法


構造計算


構造計算って、想定外の力がかかった場合にどのように安全に壊すかを計画する事でもあります。
ほとんどの部位が100の力に耐えても、一カ所30の力で崩壊してしまう部分があれば、建物としては30の力にしか耐えられない建物という事になってしま います。それなら、全体をぬかりなく70の力でつくった方がコスト的にも耐力的にも良いよね。というのが構造計算です。もちろん、一気に倒壊しては危ない ので、壊れる順番や状況も想定します。

で、構造計算をしたから建物が強くなるわけではありません。構造計算によって、100の力でも大丈夫なように確認すれば、100以上、120の力でも大丈夫なように確認すれば、120以上になります。30の力で計画すれば30にしかなりません。

建築基準法で、50の力でOKな場合、実際には、部位によって70だったり100だったりする力に耐えられる場所もあるわけですが、それはもったいないと いう事で、できるだけ、すべての箇所で50の力すれすれで持つようにする、つまり、コストダウンを最大の目的にする構造計算もあります。(大規模な建物で は、こちらの要素が強く、結果、姉歯事件のような事も起きます。)

一般的に、構造計算費用は、構造の最適化による無駄を省く費用に対し、十分に見合う投資だと思われます。
しかし、小規模の住宅できわめて素直な設計ができるケースでは、経験とか、勘とかいったもので、数字的な裏付けはなくとも、ほぼ間違いない判断ができるケースもあります。そのような場合は、構造計算そのものが無駄という判断ができる場合もあります。

構造計算をする○○構法の強さ


ハウスメーカーやビルダーがPRする構法のうち、構造計算をしている○○構法が強いかどうかは、その計算によってどの程度以上の強度を目指す事に決めてい るかという運用上のルールにつきると思います。これは、企業の経営姿勢で決まる部分が大きいと思います。このハードルをあげれば全体コストは上がりたくさ ん売れなくなるかもしれないですし、ハードルを下げれば万が一の地震時に倒壊案件がでてしまいイメージを損なうかもしれない。

SE構法でも、日本で起こる可能性のある地震程度では倒壊しない程度に最低基準を設定しています。ただ、この設定レベルを十分とみるか不安とみるかは、価値観にゆだねられる部分もあるのかなと思います。

構法毎の強度の優劣の話をするのはある意味ナンセンスで、SE構法であれなんであれ「うちの建物は、より強い計算でお願いします。」と構造計算の数値を上 げてもらえば良いのです。当然、部材が太くなりコストが上がったり、計画に制限がでたりしますが、より強い建物になります。
「強さ」は構造計算をする事により在来工法を含め、構法に関係なくおおむねオーダーできます。(在来工法である程度精度のある構造計算を仕様と思うと、より強烈な制限がかかる上金額もはるので、一般的ではありませんが。)

一方、耐久性というものは構法にある程度左右されるものと思います。
こちらは、現実的な比較のできる環境が、現在のところそろっているとは言いがたい状況です。
各社の説明を良く聞いて、判断するしかありませんね。

SE構法で行われる構造計算とSE構法の評価


日本において木造建築の構造計算の王道は「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」というものに沿ったものでしょう。これに対し、SE構法などは実験結果も踏まえた独自手法による計算になっているので、その部分に対し懐疑的な意見があるのも事実です。
前者が水銀体温計だとすると、後者はオムロンの電子体温計と言ったところでしょうか?後者の場合、オムロンのアルゴリズムを疑えば、その結果の数値も疑う事になり、本当にその体温なの?という疑問が生まれます。
実際、前者の計算ではSE構法よりさらにごっつい高コストな構造になる事が多く、それを正解とするのであればSE構法に懐疑的なる意見も理解できなくはないです。
しかし、それを言えば、壁倍率等で判定する在来木造は、おでこ体温計と同じようなものです。
おでこ体温計を信頼できるかどうかは、おでこの持ち主を信用するかどうかになり、より情緒的な判断に偏ってしまいますね。

いずれにしても、お金に糸目をつけないという前提で言えば、SE構法に限らずより強い建物をより確実な方法で作る方法はあります。いわゆる庶民ではない層の方々の家づくりでは、普通に使われています。

でも、自分を含め、庶民の家づくりでは金額を意識しないわけにはいきませんから、その中で、最も効率よく強度を高められる方法として、SE構法を支持しています。盲目的に安心だという気はないのですが、かなり良くできた構造でありシステムです。
在来工法でSE構法で行われている程度の構造計算をし、在来工法で同様の強度を出すことを試みれば、ずいぶん高いものについてしまいます。
何より、SE構法ではたゆまない改善も行われています。

ちなみに、SE構法の最低強度(SE構法を名乗る基準強度)でも、一般的にはやり過ぎという印象が強いですが、さらなる安心感を求める場合は、「SE構法でも、もっと強くして」とオーダーくだされば、さらに強い水準で構造計算されたSE構法になります。部材と金物代はたぶん増えますが、構造計算をするからこそ、無駄な部分に浪費されることだけはありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿